タイトル【ネタバレ注意】オリジナル創作ゲームの感想
記事No:468
投稿日:12/05/18(Fri) 07:58
名前:tomoi
はじめまして。
KaTana様の創作に惹かれ全作品を2周ずつプレイさせて頂きました
が、これほど楽しめたフリーゲームは久々でした。
中でも個人的に特に面白いと感じた作品の感想を書かせて頂きます

ちなみに私は推理があまり得意ではありません。


『かげろうは涼風にゆれて』

思考系の選択を排除して、行動系の選択のみでここまでゲームを難
しくできることに感動しました。
怪物との遭遇の仕方を知ってからクリアまでは早かったですが、そ
れまではスポットに2度行くという発想が出てこなかった為にどうす
ればいいかわからず詰みかけました。
あくまでレプリカが主人公なので、一人称視点を通して博士に対す
る恐怖と疑惑をひしひしと感じることができ、プレイヤーが感情移入
しやすいシステム作りをされている点も含めて素晴らしい完成度だと
思います。
全部クリアした後に大量のレプリカをボートで流しまくって遊びま
した(笑)。
起動する毎に脱走される博士涙目。


『わたしには聞こえる』

ガチで難しかったです。
同時に推理ものとしては最も人に薦めたいと思える作品でした。
佐津木の仕掛けたトリックがわからず(本当にパラメトリックスピ
ーカーを利用していたことにも気付かず)、結局は別荘のポイントと
いうポイントを過去の文章からしらみつぶしに入力してようやく攻略
できました。
しかし最後のやまひこさまに会える場所で完全に詰んでしまいググ
ってしまうハメに……。
事件は複雑でしたが、各人物の性格や思考がはっきりしている為、
選択による結果や解決がとても納得のいくものだと感じました。
また現実的な探偵業を題材にしつつゲームという形式の中で推理の
必要性を成立させている点も良かったです。


『world rewinder』

全作品中、最も印象に残ったゲームです。
攻略難易度は思っていた程高くありませんでした。
というのも、システム的にはキャップを手に入れ田籠に関するメモ
の情報を得て最終日に三野原を尾行するだけという簡潔なものだった
ので、もっと最終日までに攻略に必要な条件がたくさんあるのではな
いかと疑っていたせいで若干拍子抜けしてしまったという訳です。
しかし改めて作品全体を見直すと、三野原の目的を探るための情報
収集も攻略の一環になっていたと考えるならば、プレイヤーが得た『
情報』と主人公の『行動』が揃って初めてクリアできるようになって
いるのですね。
ゲームとして『行動』のほうに意識がいくあまり、物語としての『
情報』の重要さに気付くのが遅くなりました。
また綾塚の行動に想像の余地があるのも印象に残った理由として大
きいです。

個人的な想像では、綾塚はリワインダーを常習しており、4限目の
時点では時間を戻す気でいたが、三野原がキャップを受け取ったタイ
ミングより後にリワインダーが使用できないことに気付き、登校時に
ペンを振っていたリングイーニに訊ねた結果三野原と対峙することに
なったのではないかと(リングイーニは人間に対する警戒心がない前
提ですが)。
仮にペンを奪ってもキャップを手に入れられなければ巻き戻し後に
はペンの位置も記憶もふりだしに戻るので、リワインダーの共存を防
ぐにはなんとしてもキャップを奪わなければならなかった……などと
解釈しています。


『正義のキヅナ』

物語の輪郭が終始はっきりしており、気持ちの良い展開でした。
カサの選択肢は初見で驚いているうちに本当に選ぶタイミングを逃
してしましました(笑)。
まさに狙い通りといったところなのでしょうか。
挿話集でヒントを得ながら本編を進めていくシステムは『変調・幽
霊相談室』のアウターストーリーの位置付けとほぼ同じですね。
後から本編を見直すと意識を失っている間の話を回収できる部分は
ニヤリときました。
それにしてもトキさんかわいい。


どの作品でもそうですが、全体的にメタフィクションを意識しつつ
、それを各作品にとって良い方向に働くよう仕向けているように思え
ます。
『かげろう』や『rewinder』では記憶が消失する部分の情報を得た
プレイヤーが主人公を導きますし、『夏、セミ、少女』や『中夜の考
察』や『キヅナ』は失敗することを前提に攻略をより一層楽しいもの
にされている。
『テオとセァラ』に至っては失敗そのものを……ゲフンゲフン。
とにかく、主人公という登場人物を操りプレイヤーがその世界、そ
の物語をどう捉えるか、という点を重視するシステム作りは、フィク
ションがフィクションであることを認めることで表現を昇華させるこ
とに一役買っていると感じました。

長々と書いてしまいましたが、そういった斬新で挑戦的な試みを綺
麗な形で完成させているKaTana様の作品に出会うことができて良かっ
たと思います。
とても刺激的でした、ありがとうございました。

タイトルRe: 【ネタバレ注意】オリジナル創作ゲームの感想
記事No:469
投稿日:12/05/20(Sun) 07:15
名前:KaTana
拙作をプレイしていただきありがとうございます。

うーん、メタフィクションですか。
基本的に、ゲームは遊んでくれた方の感じたことが全てだと思いますので、その感想は尊重したいと思いますが、メタフィクションといわれると少し違和感が。

確かに、選択肢の成否を判断するための情報をどこで出すかなど、メタ的な視点で作ってる部分は少なからずありますが、それはメタフィクションを意識しているというよりは、あくまでノベルゲームの基本的な手法としてやっている感覚ですので。
(もちろん、『変調・幽霊相談室』のような作中作を扱ったものは否応なくメタフィクションだと思いますが)

いずれにせよ、ゲームをお楽しみいただけたのでしたら幸いです。
長文の感想ありがとうございました。